キューバ国内鉄道旅行の夢が消え,失意のうちにカリブ海を見ながらマレコン通りを歩いていると…
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黄色い小ぎれいな観光案内所が現れました。
若いおにいさんは久々に英語が通じてテンション上がったので,「キューバにあと3日も滞在しているので小旅行がしたい」「サンタクララとかトリニダとか地方都市に行きたい」と言ってみたところ,大晦日の今日と元日の明日は休業なので地方都市への旅行は残り日数的に難しいが1月2日の日帰りでピニャーレス渓谷に行ってみるのはどうか,との返事。
それしか選択肢がないようだったのでOKすると,旅行代理店に電話して確認を取ってくれることになりました。
しかし,なんと,旅行代理店も年末年始でお休み!

どうにもこうにもいかず,思わず「どうしたらいいんですかね?」と聞いてしまうと,「街なかのホテルのフロントにある旅行代理店に直接アタックしてみるのがいい」と親切にも地図を渡してくれました。
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ということでアルマス広場からオビスポ通りへ。
ここはマレコン通りと並んでハバナで代表的な通りで,これまで歩いてきたハバナとは気合いの入れ方が違いました。世界各国からの観光客で賑わっており,さながら竹下通りといったところでしょうか。
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道々の建物はきれいに補修されており,鮮やかな色に塗られています。
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左のピンクの建物はホテル・アンボス・ムンドス。
キューバに移住してきたヘミングウェイが当初泊まっていたホテルです。ヘミングウェイのノーベル文学賞受賞作となった「老人と海」は私も来る前に読みましたが,なんとなくキューバに住み着きたくなる理由も分かるような気がしました。


さて,オビスポ通りを歩いているとホテルのおじさんに「ランチはどう?」と誘われ覗いてみると,旅行代理店の案内が!
おじさんの指差す方に行くと,コミケの個人サークルみたいなこじんまりとしたブースがありました。意を決しておねえさんに話しかけ,現状を説明してみると,スマホを取り出し慣れた手付きで電話。

「たしかに今日明日は年末年始だからツアーはないけど,今日トリニダゆきのシェアタクシーが出るから乗ってみる?」との返事。聞けば,Door to Doorの個人用タクシーで,彼女が宿も押さえてくれて,帰りも二日後にハバナに帰るタクシーがあるというのです。値段もそこそこ良心的。

「私の友達がやってる宿は満室だけど,その宿に行ったら友達が別の宿を教えてくれる」
「あさってタクシーが泊まってる宿まで迎えに行くように手配するからあなたは心配しなくていい」


あまりに鮮やかに目の前でプライベートツアーが企画されたので,大船に乗った気持ちで行ってみることにしました。日本だったら旅の手配ってもっと手続きを踏みますよね。
タクシー代金を払うと「13:00に泊まってる宿で待ってて」とのこと。これで終わり。
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興奮冷めやまぬままオビスポ通りを歩いていくと,中央公園に突き当たりました。
中心には英雄ホセ・マルティの像。明るい雰囲気でとても居心地がよい広場でした。そういう気分だったからかもしれませんが。
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中央公園の周辺はサラトガなどの高級ホテルが集まっているエリアで,高価格帯のクラシックカーのタクシープールもありました。
並んでいるクラシックカーも,カサブランカや我々の泊まっているエリアのクラシックカーに比べると輝きが段違いで,観光客を相手に商売している人々だけが儲けているのだとすぐに分かりました。
キューバでは観光業による外貨獲得を推進する一方で,不動産や車の個人所有,自営業が段階的に解禁されており,その富は社会主義思想の通りには分配されていないようです。
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貧乏人は昼飯も15CUP(60円くらい)のハンバーガーです。
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そして我々の宿はこんなところ。
宿のおばちゃんに「これからトリニダに行くことになった」と言ったらお互いテンション上がってきて,キューバ人の年越しあるあるや,筆談でFeliz año nuevo(新年おめでとう)とかのスペイン語を教えてくれました。
おばちゃんに別れを告げ,宿の軒先に座ってタクシーの到着を待ちます。
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この暑さでも一応大晦日なので人々は楽しげで,子供らも道路でサッカーしていて賑やかですが,周囲の建物を見る限り,お世辞にも所得が高いほうの人々ではないのでしょう。

そして30分くらい遅れてボロいセダンが到着。
乗り込むやいなや,おっちゃんに金を請求され嫌な予感。「もう払った」と言うと気まずい雰囲気になってめっちゃ焦りました。。
幸運にもツアーデスクのおねえさんの電話番号をもらっていたことを思い出し,それを渡して電話をかけるよう言うと,2回目でつながり,おっちゃんもようやく笑顔になりました。
途中でスウェーデン人の女性バックパッカーと現地人の女性を乗せ,高速道路っぽい道へ出発進行。
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片道350kmあるので,ガソリンスタンドやサービスエリアっぽいところで寄り道しながら進みます。スウェーデンの人と旅の話で意気投合し,日が暮れて眠くなるまではずっと喋ってました。

どうやらソ連時代の車のようで,ドアが壊れてて,速度計も動かない状態で路盤の悪い高速を推定100km/hで爆走しているという。ガソリンはガソリンスタンドではなく高速脇の民家で安く仕入れ,ウォッシャー液はペットボトルで買って直接フロントガラスにぶちまける方式。
もろもろのことに唖然としていたらスウェーデン人が「キューバではすべてが経験よ」と名言を残されました。
彼女はキューバに知り合いも多く,第二の故郷のように詳しいのでこの国のことを色々教えてもらいました。やっぱりキューバに来る前にスペイン語を勉強したそうです。私もしてくるべきだった…。

日が暮れると,高速道路は文字通り真っ暗になり,しかも山がちな道になりました。突然馬車が出てきたり,歩行者が出てきたりして気が気ではなかったですね。
どこだったか,対向車のハイビームに目がくらんでいる間に急カーブに差し掛かり,遠心力で吹き飛びそうになりました。ドアも壊れてるので冗談抜きの恐怖体験でした。
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とんでもないボロ車でしたが,無事トリニダに到着。
スウェーデン人とfacebookのアカウントを交換して別れ,例の指定された宿まで送ってもらいます。
宿からおじさんが出てきて,一応事情をスペイン語で説明できるよう準備していたのですが,すべて伝わっていたようで家族がやっているという宿へ連れて行ってくれました。


ここの宿のおばちゃんもめちゃくちゃいい人で,到着した我々をパインジュースで出迎えてくれました。スペイン語では「フーゴ・デ・ピーニャ」と言うらしいです。
宿の代金を払おうとするも明日明日と言って受け取ってくれず,すぐ部屋に入れてくれました。若干疑ったりもしたのですが,結論から言えば代金も帰るときに所定通りの額を払うだけでしたし,本当に親切な人でした。
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とりあえずは部屋に荷物をおろし,年越しそばにしようと思って持ってきたカップ麺を食べました。
シャワーのお湯が出ないのと,やたら蚊が多いのを除けば快適でおしゃれな宿でした。

眠いから寝る,みたいなことを言ったら,今日は大晦日だから踊りなさい!Casa de la Musicaに行きなさい!と言われ,とりあえず行ってみることに。
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カウントダウンが迫ると人が続々と集まってきました。
Wifiスポットにもなっていて,みんなスマホを開いています。facebookやtwitterを開くと,既に日本では元旦になっているので完全に浦島太郎の気分でした。
日付が変わると写真のような状態になり,モヒート片手にお祭り騒ぎ。後ろでは男性が彼女にプロポーズして周囲がお祝いムードになっていました。

で,帰って寝ました。この日は鉄道旅が粉砕されるところから始まって,午後からトントン拍子に話がうまく行ってキューバから350kmの田舎まで来たので本当に疲れました。
次はトリニダの歴史をたどる旅を紹介したいと思います。

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