フェリーに乗り込み,ペナンに別れを告げます。
IMG_5050
海に突き出た姓氏橋やらを眺めていると,気付けば反対側にはバターワースの街並みが目の前に迫っていました。
バターワース港は鉄道駅やバスターミナルと結合された新築の複合商業施設と隣接しており,開発は鋭意進行中といった様子。

鉄道で首都クアラルンプールへ

IMG_5053
港から仮設通路を少し歩くと,バターワース駅が現れます。
ここはマレー鉄道の本線から港に向かって飛び出た支線のようなもので,イメージとしては青森駅に近いような感じです。
とりあえず窓口に行き,日本でKTMのサイトから予約したバウチャーを見せて乗車券に交換。
IMG_5072
こちらが高速列車ETS。バターワース1623発,KLセントラル2041着のETS9105列車です。
マレー半島には高速鉄道計画とかもありますが,この140kmで走る列車が今のところ最速のようです。見てくれも高速鉄道に寄せてる感あります。
IMG_5078
車両は中国製ですが,銘板以外では中国要素はありません。やたらゴミが散乱してましたが,車両としては新品に近いものだと思われます。頭上のモニターではナショジオっぽい教育番組がずっと放映されてて,英字幕見つつ暇潰してました。
ところで,予約するとき席を選べたので先頭車の一番前を押さえていたのですが,まさかの最後尾で,座席も回らないのでただ後ろ向きになっただけでした。。
IMG_5083
発車してしばらくのち車掌の検札が来たのですが,乗車券に押された確認印が小学校の宿題かよ!と突っ込みたくなるような脱力系スタンプで笑いました。

モニター見たり車窓を見たりしていたら,外では猛烈なスコールになっていました。やっぱりこのへんは夕方になると恵みの雨が降るんですかねえ。
やがて車窓が真っ暗になると,沿線の明かりがなさ過ぎて,ずっとトンネルかと勘違いしてました。

IMG_5091
そしてクアラルンプール駅を過ぎ,終点KLセントラル駅へ。
ここは東南アジアで最も大きいターミナルであり,マレー鉄道,地下鉄,モノレールなど多くの交通機関が乗り入れています。
個人的に興奮したのが,案内板にやたら日本語併記があったことですね。海外来てまで日本語かよって感じですが,完全アウェーの夜行バスに乗って日本人が一人もいなさそうなタイの街とかを旅してきたあとでは嬉しいものです。
それに,京成スカイライナーのCMが大画面で流されてたりして,日本が近付いてきたと実感しました。KLセントラル駅には空港鉄道も発着しています。

いざKL観光

さて,とりあえず夜のクアラルンプール名所を求めてモノレールに乗車。
IMG_5101
結構古いのか分かりませんが,10発殴った東京モノレールみたいな感じでした。

IMG_5112
こちらがクアラルンプール随一の繁華街,ブキッ・ビンタン。
IMG_5115
客引きに話しかけられると,大都会に来たことを実感します。
近くには中華街っぽい夜市もあり,外国人観光客で賑わっていました。シンガポールぶりに日本語を聞きましたね(泣)

IMG_5133
ブキッ・ビンタンからは近年開業したばかりのMRTに乗車。
自動券売機が高額紙幣を扱ってないので,ダメ元で窓口に行くと笑顔で両替してくれました。なぜ最初から機械を対応させないのか…。
MRTは自動運転で,ホームも数階分打ち抜きの吹き抜けになっていたりしてエモかったです。

MRTからLRTに乗り継いで辿り着いたのがKLCC駅。
IMG_5179
ペトロナス・ツインタワーを拝みに来ました。
ツインタワーという点も勿論のこと,イスラム様式に基づいている尖塔のデザインがエキゾチックで最高ですね。右か左か忘れましたが,どっちかが日本による建設だったはず。

この時点で地味に23時を回っており,オフラインマップを片手に何とか宿に辿り着いたのが日付を跨ぐ直前。
Booking.comで支払い済みと思っていたら現地精算だったらしく,幸か不幸か財布を見ると有り金が宿代ピッタリ。デポジット料さえ払えずパスポートを抵当に押さえられましたが,なんとかチェックインすることができました。
宿は800円くらいの限りなくドミトリーに近い個室にしましたが,どうも欧米人による欧米人バックパッカーのための宿という雰囲気で,完全にアウェーを味わいました。というか格安宿はトイレのハンドソープで体を洗う羽目になったりとか他の客が泥酔してそこらに吐いてたりして人権がないので,複数で旅行するときや旅先で嫌な思いをしたくないときは常識的な価格のちゃんとしたサービスのホテルに泊まるべきでしょう。

IMG_5193
翌朝チェックアウトして気付いたのですが,安さの秘密は恐らく立地。
たしかに地下鉄駅からも比較的近く中心部に位置するわけですが,まさかのインド人街のど真ん中でした。宿の周りではインド人朝市が展開されていて,何ならヒンドゥー教の寺院もありました。

IMG_5208
宿から歩いて行くと川にぶつかります。
クアラルンプールの名前の由来は「泥が合流する場所」であり,その名の通り2つの川が合流したところに都市が築かれています。この写真の川はそのうちの1本になります。
ここからもう少し歩いたところには合流するまさにその場所があったらしく,帰ってからその存在を知ってめちゃくちゃ後悔しました。ブラタモリだったら絶対に訪れていたことでしょう。。

IMG_5218
クアラルンプールの特徴としては,イスラム教の都市であるということが挙げられると思います。
先述したペトロナス・ツインタワーもそうですが,クアラルンプールでは近代建築から現代的な高層建築に至るまで,イスラム様式が取り入れられている建築が多いのが印象的でした。たとえばこの写真では,まず手前の建築に目が行くと思いますが,右奥の高層ビルもイスラムっぽいデザインになっているのがお分かりいただけるでしょう。
シンガポールの場合は75%が華人であるのに対し,マレーシアはマレー人の国家であり,イスラム教が国教に定められています。KLは最も発展してきたイスラム教の都市の一つであり,同時に街は世俗的でもある。そのあたりにKLの魅力があるのではないかと感じました。
IMG_5238
こちらはマレー鉄道本社ビル。
もう溜め息しか出ません…さすがにこれは目が釘付けになりました。マレー鉄道が歴史的に重要な位置づけであったことも容易に窺えます。
IMG_5228
近くには国立のモスク,マスジッド・ネガラがあります。
現代的なモスクは,このクアラルンプールによく似合っているものでしょう。

***

昨晩,宿の支払いで無一文になってしまったため,朝から飲まず食わずで宿からKLセントラル駅まで何度か死にかけながら道なき道を歩いてきた筆者。
KLセントラル駅の地下で命の両替所を発見したことにより現金を回復,いざ昼飯へ。
IMG_5262
今日はKTMコミューターに乗ります。こちらはマレー鉄道が運行する近郊型電車です。
KLセントラルから一駅乗るとMid Valley駅に到着。

駅には巨大な複合施設が隣接しており,そこには馴染みのうどん屋があるのです。
IMG_5263
海外では丸亀製麺のほうが主流であると思われ(香港,ジャカルタ,ソウルで世話になった),はなまるうどんを発見するのは初めてのことです。

IMG_5271
温玉ぶっかけ(冷)を注文。
味は日本人の舌にもなかなかでした。飛んでたWifiでツイートしたのに,場所を追記しなかったせいで全く注目されませんでした。。

IMG_5280
そんなこんなで空港鉄道に乗車。
降りるターミナルを間違えて連絡バスを探す羽目になりながらも,クアラルンプール国際空港ターミナル2(KLIA2)へ。
入国が厳しかったので色々覚悟を決めてイミグレに向かいましたが,出国は例の人差し指だけで無事でした。やましいことは何もありませんが。
IMG_5295
KLIA2は新しいターミナルであり,実質的にエアアジアの専用ターミナルとなっています。
飲まず食わずにうどんを入れただけなので,とりあえず制限区域のコンビニに入ると,ペットボトルの水を2本買うと1本付いてくるという海外の空港あるあるで,そのまま買うと市内より高めで悔しいので3本買いました。2本は飲みきれず日本まで持ち帰りましたね。。

ということで夕方KLを離陸したエア・アジアXは,22時を過ぎて無事羽田に到着。
入国は自動カウンター,預け入れ荷物もなく税関も一瞬だったので降機後10分で京急に乗って帰りました。
あっという間で一夜の夢のような旅でしたが,突然熱帯から初春の気候に戻ったためか翌日風邪を引き,常夏のマレー半島を旅してきたんだなあという現実味を得ました。
(おわり)