凍てつくカザフスタンを縦断し,アルマトイに到着。
アルマトイ2駅のホームに降り立つと,キルギス人の日本語ガイドさんが出迎えてくれました。
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欲を言えば先頭に行って機関車を撮りたかったところですが,早々に手荷物検査を通って駅を後にします。
ガイドさん「ここでは日本人の評価はすごく高いです。さっき手荷物検査の警官も『旅を楽しんでくださいと通訳して伝えてくれ』って言っていたんです」
ありがたいことです。

はじめてのキルギス

ここからは貸切のセダンで一路キルギスとの国境へ向かいます。
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カザフスタンの高速道路はところどころ建設中で途切れていて,羊も放牧されているような未舗装路を進んでいきます。かと思えば,高速に戻った瞬間ドライバーがスマホ片手に167km/hとかいう意味不明な速度で爆走したりします。
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程なくしてコルダイ国境に到着。
カザフスタンとキルギスは文化や言葉も似ており友好関係にありますが,陸路国境独特の緊張感は日本では味わえないものですから,日本人としてめっちゃ興奮します。
ガイドさんによると,昨年大統領同士が若干険悪になり,国境の検問が一気に厳しくなったらしい(今は元に戻った)。

キルギスは悪路が多いためここでセダンから4WDに乗り換えますが,ガイドさんは一緒に国境を通ります。
日本人向けのキルギス旅行代理店では,空路の都合などからアルマトイを起点とするカザフスタンをセットにしたツアーを基本としていて,キルギスだけでなくカザフスタンのガイド資格も取得するようにしているそうです。
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入国後しばらく走って,昼飯は汁なしのラグマン。
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最初に訪れたのは世界遺産,ブラナの塔。
何もないところにポツンと立っているこの塔は,かつてモスクのミナレットだったと言われています。
つまり,ここにはかつて街があったということ。
シルクロードの中継地として繁栄した時代に思いを馳せます。
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ミナレットの上からは広大な平原を一望できます。
かつてはウズベキスタンのヒヴァのような街並みが眼下にあったのかもしれません。
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近くには石人と呼ばれる顔を掘られた石が点々と並んでいます。
かつては墓石だったとかで,冬の寒さもあって,少し寂しい景色でした。


車は一路,チョンケミン渓谷へ。
非常に景色が綺麗だったのですが,既に日が沈んでいて撮れませんでした。
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ゲストハウスの晩餐はすごいことになってました。
毎日こんな料理を食べているわけではなく,客人が来たときに食卓を埋め尽くすのが歓迎のしるしなのだそう。
当然食べ切れるわけもなく,腹いっぱいになって手が止まると自然と歓談に移っていきます。
ガイドさんが通訳してくれましたが,ゲストハウスのご家族も欧米人を泊めることが多いので英語も多少できる方々でした。

キルギスで年越し

翌朝。12月31日を迎えました。
天気がやや良くないということで行程が変更になり,イシククル湖の南岸ではなく北岸を回って目的地,カラコルに向かうことになりました。
イシククル湖はキルギスが誇る巨大な湖で,景色も綺麗だし,様々な観光遺産が沿岸に集まっています。
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訪れたのは1916年記念碑。
帝政ロシアによって虐殺されたキルギス人の慰霊碑とのこと。
ここキルギスでは,レーニンと共産党はキルギスを帝政ロシアから解放してくれた恩人という意識が強く,今でもソ連時代は肯定的に評価されているらしいです。
場所が変わればソ連に対する認識も全く変わってきますね。
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チョルポン・アタでは古代人の岩絵を見学。
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昼食はキルギスの伝統料理ベシュバルマク。
うどんに羊肉を乗せたような麺料理で,現地人は手で食べるそうです。
これがめっちゃうまかったんですけど,日本でも肉茹でて汁ごとうどんに乗せたらそれっぽくなりそうですよね。
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途中,露天風呂で湯治。ここには昔から治療目的の温泉がいくつかあったらしいです。
脱衣所から風呂までは雪の上を水着一丁で歩かないといけないので凍え死ぬかと思いました。
風呂は物好きな現地人で賑わっていましたが,ここで日本人に会ったのはさすがに驚きましたね。


車はイシククル湖の北岸を進み,一日かけてシルクロードの十字路であるカラコル(旧名ブルジェバリスク)に到着しました。
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これは木造のロシア正教会。
カラコルはロシア系の人口が多く,この聖堂もロシア人のおじいさんが管理していました。
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この東洋風な建物は,実はイスラム教のモスクなのです。
中国から逃げてきたイスラム教の少数民族,回族が建てたとのこと。
もちろん右の塔はミナレットで,上からはアザーンが流れます。

これらロシア正教会とモスクは,この街が様々な民族によって構成されていることを示しています。
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そんな街で年を越すことになりました。
日付が変わる頃に合わせて街の中央公園に行ってみると,次第に人々が集まってきていました。
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ビシュケクやアルマトイのように街じゅうで爆竹が鳴らされ花火が打ち上げられるのを期待していましたが,田舎の小さな街ですから,カウントダウンもなく,控えめな花火と控えめな爆竹で2020年を迎えました。
(つづく)