依然としてコロナ禍が続いています。
県境を越えて,国境を越えて,自由に旅ができる日を待ち望みながら,過去の旅を振り返ってみたいと思います。

JR児島駅へ

JR四国とJR西日本の境目,瀬戸大橋線の児島駅を訪れました。
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駅構内には観光案内所があり,自転車を借りられます。
数分漕ぐと,最初の目的地である下電児島駅跡に到着します。
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かつて児島には,軌間762mmの下津井電鉄が走っていました。
茶屋町〜児島間は1972年に,児島〜下津井間は1991年に廃止されましたが,児島〜下津井間は自転車道に転換され,通称「風の道」として今に残されています。
モータリゼーションによる輸送人員の低迷,瀬戸大橋の開業,観光鉄道化とその失敗など,激動の時代をおくった下電最後の数年間の軌跡を追ってみたいと思います。

風の道を走る

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児島駅舎は1988年,瀬戸大橋線の開業直前に完成したもの。
看板等は撤去されましたが,今もほとんど当時のまま残されています。
赤と白のナロー電車が入線してくる光景を想像すると,胸が熱くなります。
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児島駅を出ると,砂の道が続いています。
赤茶色く煤けた架線柱が,この遊歩道が確かに線路であったということを示しています。
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市街地をしばらく走ると,景色が緑に変わり,山を登っていきます。
ここは琴海駅。当時のホームが残っていました。
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鷲羽山駅からは,瀬戸大橋が見渡せます。
港町をのんびりと走っていた下電は,瀬戸大橋の開業によって,沿線風景も経営環境も大きく変わりました。
しかし,この橋と下電の共演は3年に終わりました。車窓から見る瀬戸大橋はどんなふうに映ったでしょうか。
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鷲羽山を越えて坂を下っていくと,終点下津井駅に到着します。
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ここでは,下電を愛する有志の人々が車両の保存活動を行っています。
奥には瀬戸大橋開業に合わせて投入されたメリーベル号も見えています。
瀬戸大橋開業に社運を賭け,観光鉄道化させるため新造されたメリーベル号。下電と命運を共にし,僅か3年の活躍に終わりました。
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静かな港町,下津井には古い建物が美しく保存されており,自転車でのんびりと走りながら情緒ある街並みを楽しみました。
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古い街並みと瀬戸大橋の組み合わせも,この場所ならではの景色です。

復路は鷲羽山を回り込んで瀬戸内海沿いを走りながら児島駅まで戻りました。
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2017年,クラウドファンディングにより,下電の電車と有蓋貨車が下電ホテルに移設されました。
上屋も付けられ綺麗に保存されていますが,やはり走っているところを見たかったなあ…と思います。

このコロナ禍により,いくつかの中小私鉄が経営の危機に瀕しているようです。時代の流れにコロナが追い打ちをかけているような構図ですが,個性豊かな日本のローカル線が末永く走り続けてくれるよう,願うばかりです。

下津井の風景は,「兵どもが夢の跡」という言葉を思い起こさせました。